最高裁判所第三小法廷 昭和24年(れ)447号 判決 1949年7月19日
主文
本件上告を棄却する。
理由
辯護人上野利喜雄の上告趣意第一點について。
本件第一審第一回の公判の審理に關與した判事小山市次が、第二審裁判に關與したことは、所論の通りである。しかし同判事は第一審第二回の公判以降の審判には關與せず、第二回公判期日には公判手續が更新されている。第一回公判廷では、被告人に對して詳細な事実調がなされているが、そのときの被告人の供述は第一審判決の證據として採用されてはいない。又第一回公判では證人訊問もなされてはいない。さすれば同判事は、舊刑訴法第二四條第八號にいわゆる「前審の裁判又はその基礎となりたる取調に關與した」ものということはできない。從って、同判事は第二審に於ける職務の執行から除斥せられるべきものであると主張する論旨は採用することができない。(その他の判決理由は省略する。)
以上の理由により舊刑訴法第四四六條に從い主文の通り判決する。
この判決は裁判官全員一致の意見によるものである。
(裁判長裁判官 長谷川太一郎 裁判官 井上 登 裁判官 島 保 裁判官 河村又介 裁判官 穂積重遠)